奥真也「未来の医療で働くあなたへ」

奥真也「未来の医療で働くあなたへ」

2021/11/3

・本書は、医師で医療未来学者である著者が、10年後、20年後に医療の現場に働こうとしている人たちのために、過去→現在→未来と日本の医療はどこに向かおうとしているかについて書かれた1冊。
2030年の未来の診察室について
・受付がヒト型のロボット
・AI(人工知能)の医師がモニター越しで診察をする
・診察後はスマートフォンのアプリ
・白血病が不治の病ではなくなっている
など、最新の研究を踏まえた上で、著者が描く未来をストーリー仕立てなどで紹介している。
・医療機器は常に進化しており、人間の手では不可能な角度からメスを入れ、うまく施術することができる「手術補助ロボット」や、病気になっているところなどを見つけるなど、体の中を詳しく調べて報告した上で、数時間経つと便とともに排泄される仕組みを持つ「カプセル内視鏡」が開発されている。その他にも、体内に薬を届けて消える「薬の配達」ロボットや、文字や言葉を使わなくても、お互いの心と心で通じ合う「以心伝心」の技術についても紹介している。
・医師になりたい、医学部入試を目指したいなら、ともかく少しずつでも勉強すること。「やった!」と思える小さな瞬間の積み重ねがとても大事。医師なっても勉強は続く、というより、医師を続ける以上は一生勉強しなければならないと言ってもいい。
・医師を目指すにも、医師になってからも、大事なことは「どんなときも折れない心」を持つこと。「糖尿病の遺伝子異常をすべて解明したい」「認知症のメカニズムをつきとめたい」という具体的な目標を掲げていると、厳しくて苦しい勉強もきっと乗り越えられると思う。
その他に、医師になるために「学校の勉強以外でやっておいたほうがよいこと」や「医療機関以外の医師の活躍の場」など、医師を目指す方々のために著者が医師になる上で大切なことが紹介されている。
(著者も東京大学理科一類に入学したが、医学に魅力を感じ、東京大学理科三類(医学部)を再受験して医師を目指したとのこと)
・本書では、「現在の医療の現状から20年後の医学と医療」「医療現場で活躍するロボットや医療機器」「医師になる上で大切な心得と医師や医療の仕事をめざすにはどうすればよいか」など、これからの医学の道を志す方々の参考になったり、現在の最新の医療の現状について触れることができる内容となっている。
また、医学や医療に関する質問をQ&A形式で解答している(血を見るのが嫌いだと医師になれないの?・医師にはなりたいけれどと勉強がどうしてもつらい・医師になるまでどのくらい学費がかかるの?など)のも魅力のひとつである。
「未来の医療のことを知って、医師を目指してほしい」という著者の想いがこもった渾身の作品です。大人のみなさんも本書を読まれたらぜひこれからの未来を担う子供たち(中高生など)にご紹介いただけたら幸いです。

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