小野貴也「社会を変えるスタートアップ「就労困難者ゼロ社会」の実現」

小野貴也「社会を変えるスタートアップ「就労困難者ゼロ社会」の実現」

2023/1/18

・本書は、製薬会社のMR(医薬情報担当者)従事中に、障害や難病のある人の活躍機会・賃金格差などの社会問題に衝撃を受け、2014年に創業し、障害や難病を抱える就労困難者に特化した仕事の受発注プラットフォームを運営して、約1500万人の就労困難者がビジネスの現場で大活躍できる仕組みづくりに取り組んでいる著者が、「就労困難者ゼロ社会」を実現するためのグランドデザイン(大きな構想戦略)について解説した1冊。

・就労困難者=就労に何らかの課題・障害を抱えており、無職、低賃金、不安定な就労環境等の状態になっている人
※本書の定義

・日本財団の調査によると、引きこもり、ニート、ミッシングワーカー(失業者にカウントされないが、介護などの事情で働いていない人)、刑余者、難病など、生きづらさや働きづらさのある方々はのべ1500万人(積み上げ方式)におよぶ。実に8人に1人が困難を抱えているのだ。

・障害者の雇用に関して「法定雇用率」というものがあり、これは、障害者の就業の安定を目的に、一定の人数以上の労働者を雇用している企業や団体を対象に、全ての常用労働者のうち障害者をどのくらいの割合で雇う必要があるかを定めた基準で、現在、法定雇用率が2.3%で従業員43.5人以上の企業には、障害者雇用が義務づけられている。
・また、「特例子会社」(親会社の実雇用率に参入できる、障害者の雇用に特別な配慮をした子会社)は2021年6月1日時点で、562社あり、特例子会社で雇用されている障害者の数は4万1718人であり、内訳は身体障害者は1万1841人、知的障害者は2万2021人、精神障害者は7856人と、特例子会社は知的障害者を雇用する割合が高いことが確認できる。

・精神障害者の雇用数は右肩上がりで増え続けている。その一方で、採用後の「定着」の面ではまだまだ課題がある。実は障害別の職場定着率を見てみると、精神障害者の離職率が最も高く、およそ50%が1年以内に退職しているというデータが出ている。
・精神障害者の定着における課題として、業務のミスマッチや現場でのコミュニケーションがうまくとれないことなどが挙げられる。長期の雇用定着を達成したい企業にとって早期退職は悩ましい課題である。

・本書では、障害者雇用における「入口戦略」と「出口戦略」が紹介されている。
入口戦略
□直接雇用の有無に関わらない企業と障害者が共に働く機会の底上げと、企業における障害者雇用ノウハウの蓄積
□ミスマッチを事前に防ぐための一人ひとりの能力や特性が記録されたプロファイルデータの構築と共有の仕組みづくり
□入社前実習や研修だけではない、本番さながらの実践型プログラムの実現(現行のトライアル雇用に近く、業務等を通じた実務経験の蓄積が必要)
※「出口戦略」の詳細は本書をお読みください。

・本書では、「障害者雇用制度を基盤とした日本版インクルーシブモデル」「世界のトップクラスのポテンシャルを秘めた就労支援業界」「日本の労働人口減少問題を突破する方法」「就労困難者が「大活躍ふるためのプラットフォーム」「薬だけではなく仕事をー起業のきっかけ」「データテクノロジーがつくる就労困難者と日本経済の未来」「スタートアアップが挑戦する社会性×経済性」「インクルーシブ雇用2.0」「就労困難者ゼロ社会」という章で構成されており、障害者と健常者、就労困難者とそうでない人の壁が解け合う、働き方の未来について考えるきっかけとなる内容となっている。

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